この日は、エクマットラというNGOの活動視察と代表の渡辺大樹さんのインタビューを行った。
エクマットラは、ストリートチルドレンと呼ばれる子供たちの中でも、もっとも抑圧されているといわれる路上生活娼婦の子どもたちの支援を行っている。今回は、ダッカ市ミルプール地区にある、更生センター「子供たちの家」を訪問させて頂いた。
このセンターには十数名の子どもたちが暮らしており、共同生活をしながら社会ルールを学び、基礎教育を受けている。センターの授業の様子を少し見学させて頂いた後、代表の渡辺さんにインタビューを申し込んだ。
インタビューをしたいと依頼すると、寄付の受付はしますか?とまず聞かれた。日本からの寄付は現在受け付けていないから、募集はしないで欲しいということを、まず確認された。今だかつて、寄付金を要らないというNGOの方にお会いしたことがないから、かなり驚きだった。
寄付を日本から受けない理由は、出来るだけバングラデシュの中だけで成り立つ組織にしたいからだそうだ。日本から寄付を受けてしまうと、いつまでも日本の寄付に頼る体質になってしまうからと説明してくれた。
強い信念を持つ人だと感じた。そもそも強い信念がなければ大学を卒業したばかりの若者が、いきなりバングラデシュには来ないだろう。言葉も当時は話せなければ、知り合いもたった一人しかいなかった。そんな若者が、信念だけで飛び込んで来て、今では立派に子どもの支援をしているのだから、すごいとしか言いようがない。
NGO活動をいよいよ始める頃、支援対象を路上生活する娼婦の子どもに決めた渡辺さんは、娼婦の集まる場所に通い詰めたそうだ。日本からやって来た外国人が、いきなり「あなたの子どもの教育がしたい」と切り出すのだから、反応は想像できる。
案の定、渡辺さんは不審者と思われ、何人もの人に囲まれて、リンチにあいそうになったそうだ。当時、人身売買が当たり前のように行われていたこともあり、子どもを教育するとうまいこと言って、実は子どもを売り飛ばす気だろうと思われたそうだ。
もう二度と来るなとその時言われたが、渡辺さんはその後一ヶ月半も通い詰めたそうだ。生半可な気持ちでやろうとしているんじゃないことを知ってもらうために。
すると一ヵ月半ほど経過したころから、娼婦の女性たちがなぜ自分たちが娼婦の仕事を始めたのかや、実は自分の娘には同じ道は歩んで欲しくないということを語り始めたそうだ。彼女たちの心が開いた瞬間だった。そうしてエクマットラの最初の青空教室は、娼婦が集まる公園で始まった…。
こんなに純粋で、まっすぐで、信念を持ち、困難があっても決してあきらめずに工夫しながら突き進む若者に出会ったのは久々だった。というよりも、彼のような人物に出会ったことがないと言った方がいいかも知れない。人と出会い、この日ほど感動した日も数えるほどしかないだろう。
渡辺さんの活動を心から応援したい。エクマットラの活動、インタビュー記事は別途イーココロ!に掲載したいと思う。





